夢をあきらめない。１９年間清掃員をしながら大学を卒業した男。ガッツ・フィリーパイ。５２歳。（後編）

前編ではガッツ・フィリーパイさんの経歴を紹介しました。後半では、彼の成し遂げたことと、また彼自身から私たちが学べることを考察して行こうと思います。そこにはかならず、私たちが逆境を乗り越えるヒントがあるはずです。

前編　—夢をあきらめない。１９年間清掃員をしながら大学を卒業した男。ガッツ・フィリーパイ。５２歳。


自分の目標に挑戦する。

２２歳で大学を卒業するというのは多くの人にとって目標になり得ますが、フィリーパイさんがそれを望んでどうなることでしょうか。中にはそんな歳で大学なんて卒業してどうするなんて思う方もいるはずです。しかしそれはその人の目標、価値観であって、フィリーパイさんのものではありません。他人の目標を自分の目標にしていたらフィリーパイさんはこうしたことを成し遂げることができなかったのではないでしょうか。

余計なプライドは捨てる。そして真のプライドを持つ。

もしフィリーパイさんが、英語は話せるようになりたいけど、高校生にはなりたくないと言っていたらどうなっていたでしょう。もしくは、清掃員なんてやりたくないと言っていたら。目標を達成する為には変なプライドは邪魔になるようです。
大事なことは、フィリーパイさんが持っていたのは余計なプライドではなく、真のプライドだったということです。彼はクラスメートに、「あれ、同じクラスに居たよね？（なんで掃除してるの）」と聞かれるのを楽しんでいたようでもあります。なぜそんな風に状況を楽しめたのでしょうか。彼の姿から、真のプライドとは、それがなんであれ、自分のしていることに誇りを持つことである、ということが見えてきます。そのことについて、次の項目で学長の声とともに掘り下げてみましょう。

自分のやっていることの本当の価値を知る。

彼の前向きさをずっと賞賛している大学の学部長はこう語ります。

彼に会うとき、たとえ働いている間だったとしても、大きな笑顔をもらえる。彼がここコロンビア大学でしていることに誇りを持っているのがわかるよ。彼は、何だって一生懸命やれば、価値と業績をつくり出すことが出来ると信じている人の一人だ。それが清掃の仕事だろうと、学業だろうとね。

彼にとって、それは自分の目標を達成する以上の意味があったのかもしれません。また、それは本人がそれを知っているかどうかにかかわらず、そうなのです。現にフィリーパイさんの話を知った何人もの方が励まされています。また、学長はこうも語ります。

普通とは異なった背景を持つ生徒は、知的な会話にとても大きな貢献をする。

ややもすると、人は自分から自分を卑下したり、周りからどう言われるかを気にするあまり縮こまってしまいます。しかし、世の中は同じ考えや背景の人ばかりで成り立っている訳ではありません。それぞれが役割を持っているのですから、萎縮してしまう必要はないのです。自分の評価を受け取ることよりも、自分を与えることに集中すればそういったことは気にしなくてもよいのではないでしょうか。人には、自分が思っている以上の価値があります。

けして自らあきらめない。

彼も迷った時期があったことも認めています。自分の年齢で卒業式にでるのは、変なのではないかと。しかしその度に、彼は自分自身に問いただしたそうです。なぜだめなんだ？と。実際、それは駄目なことでもなんでもありませんでした。結果、それは彼が卒業すること以上の価値があったのです。世界中の多くの人が励まされました。自らあきらめる必要はないのです。

ここからまた上記の自分のやっていることの本当の価値を知るという話になりますが、彼はどんな形であれ自分のことが報道されることを心配していました。しかし今は違うそうです。彼は、彼の姿を見て、どんな人でも年齢の為にあきらめたり恥じたりすることなく、学校に行こうと決められるのではないかと思ったそうです。
フィリーパイさんは自分のしていることがいろいろな人を励ますことになるとはしらなかったでしょう。彼が自らあきらめてしまっていたらその通りだったかもしれません。しかし、あきらめなかったからこそ多くの人を励ますことができたのです。ここらへんはフィリーパイさんに限らず、多くの方が言っていることです。あきらめたらそこで終了です。
自らあきらめないために、くじけそうになったときや、その意味を見いだせなくなったときは、自分のやっていることには自分が思っている以上の価値や意味があることを思い出し、もう一度やる気をだしましょう。


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夢をあきらめない。１９年間清掃員をしながら大学を卒業した男。ガッツ・フィリーパイ。５２歳。（前編）